息子を失った女性の希望と再生の旅路―『MADRE（原題）』が『おもかげ』の邦題で10月に公開されることが決定し、併せて予告編とビジュアルが解禁された。

幼い息子を失ったひとりの女性の希望と再生の旅路を描く本作。その出発点となったのは、スペインの新鋭ロドリゴ・ソロゴイェン監督が2017年に製作し、第91回アカデミー賞短編実写映画賞にノミネートされたほか世界各国の映画祭を賑わせた15分の短編映画『Madre』。本作でもメガホンをとるソロゴイェン監督は、緊迫感あふれるワンシーンのその短編を大胆にも映画のオープニングシーンとして採用し、息子を失った女性エレナの〈その先〉の物語を描いていく。主人公エレナ役を演じるのはマルタ・ニエト、エレナの息子の面影をまとう少年ジャン役を本作が長編映画3作目となる新鋭ジュール・ポリエが演じる。

本作は2019年のヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門に選出され、主人公エレナを演じたマルタ・ニエトが主演女優賞を受賞したほか、スペインで4つもの主演女優賞を獲得。止まった時間を深い失意とともに生きてきた女性の繊細さと迫真さが共存するニエトの圧倒的な演技に、観る者は思わず息を呑むだろう。

今回解禁された予告編は、短編『Madre』の一部から始まる。10年後、エレナはその海辺のレストランで働いていたが、その場所で失踪事件のことを知らない者はいなかった。ある日、エレナは息子に似た少年ジャンと出会う。エレナの心の支えとなっていた恋人は彼女に忠告するが、その出会いをきっかけに、恋人やジャンを慕う少女、ジャンの家族など周囲の人物に混乱と戸惑いの波紋が広がっていく―。大西洋に面する美しい海辺とその波音を寡黙かつ雄弁に切り取り、登場人物の心情を繊細かつ大胆に見せていく印象的な映像にも注目だ。

予告編

ストーリー

エレナは離婚した元夫と旅行中の6歳の息子から「パパが戻ってこない」という電話を受ける。ひと気のないフランスの海辺から掛かってきた電話が、息子の声を聞いた最後だった。10年後、エレナはその海辺のレストランで働いていた。ある日、息子の面影を宿したフランス人の少年ジャンと出会う。エレナを慕うジャンは彼女の元を頻繁に訪れるようになるが、そんな2人の関係は、周囲に混乱と戸惑いをもたらしていった―。これは、暗闇から光へ、死から生へ、罪悪感から赦しへ、そして恐怖から愛へと少しずつ歩み始める、ひとりの女性の再生の物語。

映画『おもかげ』は2020年10月よりシネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国で公開！
監督・脚本：ロドリゴ・ソロゴイェン
出演：マルタ・ニエト、ジュール・ポリエ、アレックス・ブレンデミュール、アンヌ・コンシニ、フレデリック・ピエロ
配給：ハピネット
©Manolo Pavón