太平洋戦争前夜、時代の嵐が2人の運命を変えていく—『スパイの妻』が第77回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に出品されることが決定した。

日本を代表する映画監督・黒沢清が、主演に蒼井優を迎え挑んだ本作。1940年。満州で偶然、恐ろしい国家機密を知ってしまった優作は、正義のため、事の顛末を世に知らしめようとする。聡子は反逆者と疑われる夫を信じ、スパイの妻と罵られようとも、その身が破滅することも厭わず、ただ愛する夫とともに生きることを心に誓う。太平洋戦争開戦間近の日本で、夫婦の運命は時代の荒波に飲まれていく・・・。主演は蒼井優。儚げでいて芯の強さを持ち、夫を愛し抜く聡子を圧倒的な存在感で演じている。蒼井と夫婦を演じるのは高橋一生。正義の遂行のために手段を選ばぬ純粋な優作を魅力的に体現した。脚本を手掛けたのは、黒沢自身と濱口竜介、野原位の3人。理不尽な歴史の前に、ささやかな幸せが揺らいでいく・・・。混乱を経た今の日本が刮目して観るべき傑作が誕生した。

今回、本作が9月2日[現地時間]よりイタリアで開催される第77回ヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門に正式出品されることが決定した。ヴェネチア国際映画祭は、カンヌ・ベルリンと並ぶ世界三大映画祭のひとつであり、世界最古と呼ばれる歴史深い映画祭。コンペティション部門には、毎年各国の実績ある監督たちが名を連ね、近年で主要賞を獲得しているのは『ジョーカー』(19)、『ROMA/ローマ』(18)、『女王陛下のお気に入り』(18)、『シェイプ・オブ・ウォーター』(17)など、ヒット作でありながら芸術性も持ち合わせた作品が名を連ねてきた。

これまで数々の国際映画祭で受賞を重ねてきた黒沢は同映画祭との縁も深く、『大いなる幻影 Barren Illusion』(99)、『叫』(06)、蒼井も出演した『贖罪』(12)に続き4度目の出品となる。黒沢監督にとってコンペティション部門に選ばれるのは、本作が初となる。蒼井は塚本晋也監督『斬、』(18)以来2年ぶりのコンペ出品。高橋は出演作が世界三大映画祭に出品されるのは初。コンペティション部門の映画祭公式の対象賞は、最高賞の金獅子賞、監督賞にあたる銀獅子賞、審査員大賞、男優賞、女優賞、マルチェロ・マストロヤンニ賞、脚本賞などがある。ヴェネチア国際映画祭は9月2日~12日[現地時間]に行われ、受賞結果は映画祭最終日に発表される予定。

蒼井優 コメント

黒沢監督おめでとうございます。今回は残念ながら現地に伺うことが叶いませんが、
会場の皆様にお会いできなくても、想いは通じると信じています。
誰かの明日へつながる1本になればと心から祈っております。

高橋一生 コメント

この時代にこの作品で、このキャストスタッフの下、黒沢組に参加出来た事が夢のようですが、
その上にまた、ヴェネチア国際映画祭に参加するという嬉しい知らせを頂きました。
より多くの方々に観ていただければと思います。

黒沢清(監督)コメント

嬉しい、と同時にたいへん緊張しています。
1940年代の日本を生きた夫婦の姿が海外の人の目にどう映るのか、今は予想もつきません。

映画『スパイの妻』は2020年10月16日(金)より新宿ピカデリーほか全国で公開!
監督:黒沢清
出演:蒼井優、高橋一生、坂東龍汰、恒松祐里、みのすけ、玄理、東出昌大、笹野高史
配給:ビターズ・エンド