『すばらしき世界』のプレミアイベントが1月21日(木)に都内で行われ、役所広司、仲野太賀、長澤まさみ、西川美和監督が登壇した。

本作は、「復讐するは我にあり」で直木賞を受賞した佐木隆三の小説「身分帳」を原案とした西川美和監督最新作。これまでオリジナルにこだわり続けた西川美和監督が、初めて実在の人物をモデルとした原案小説をもとに、その舞台を約35年後の現代に置き換え、徹底した取材を通じて脚本・映画化に挑んだ。主演は、国内外でその演技力を高く評価され続ける名優・役所広司。ほかに仲野太賀、長澤まさみ、橋爪功、梶芽衣子、六角精児、北村有起哉、安田成美らが名を連ね、名実ともに豪華なキャストたちが西川監督のもとに集結した。

「こういった題材で企画が通るのは、西川さんのこれまでの実績の賜物。脚本を読む前から参加したかった」と明かした役所は、西川監督の演出については「スタッフに意見を言わせる雰囲気を作るのが上手い方。みんなでシーンやキャラクターについて考えるような組でした。その空気作りは監督として素晴らしい才能だと思う」とチームワークを大切にするスタイルを絶賛。西川監督は役所の起用に「10代の頃からの憧れの役所広司さんとご一緒できて幸せでした」と笑顔を見せた。

学生時代に西川監督の映画『ゆれる』に衝撃を受けたという仲野は「役所さんや長澤さんを含めた日本のトップランナーの方々と作品を作れる環境は毎日が幸せでした。俳優として15年経ちましたが、一生懸命仕事を続けてきて良かったと思えるくらい、かけがえのない時間でした」と感慨深げに振り返り、長澤は「演じたキャラクターが、わりとドライで鋭い役柄だったので、緊張に負けないようにしようと思ったら、余計に緊張しました」と苦笑いも「撮影の合間に役所さんと仲野さんと3人で話すことができて楽しかった記憶があります。そんな待ち時間も楽しかったです」と撮影を振り返った。

本作は第56回シカゴ国際映画祭で役所がインターナショナルコンペティション部門にてベストパフォーマンス賞、作品が観客賞を受賞し、シカゴから届いたばかりの受賞トロフィーと盾を披露。ベストパフォーマンス賞を受賞した役所はトロフィーを手に「作品の力があってこその個人賞。できることならばトロフィーを切り刻んでみんなで分けたい。でももったいないので僕が預かっておきます」と饒舌。観客賞受賞に西川監督は「コロナ禍で海外のお客さんの前で上映が出来ず、リアクションも掴みづらかったので、受賞のお知らせをいただいたときは嘘じゃないかと…。でもこうやって海を渡ってトロフィーと盾が届いて良かった」と受賞を改めて実感していた。

さらに壇上では演じた役柄にちなんで、仲野と長澤がレポーターとして役所に直撃質問。レポーターの仲野が「撮影で大変だったことは?」と聞くと、役所は「それはいつも取材で聞かれて我々が困る質問だよ!」とぼやきつつも「商店街を50メートルダッシュするのは距離感も上手くいかなくて、自分の体力の衰えを見せつけられたシーンでした」と照れ笑い。さらに仲野から「ぶっちゃけ、仲野太賀はどうでしたか?」と聞かれると、「この映画に出ていたっけ?」ととぼけつつも「彼はね、映画小僧ですね。映画大好きでカメラ大好き。なかなか素晴らしい俳優さんだと思う」と賞嘆。それにレポーターの仲野は「本人、相当に喜んでいると思います!」と嬉しさを隠せない様子。しかし役所から「彼は愛されキャラですね。可愛がられるタイプの人間を普段から演じていますね」と鋭く分析されると、仲野は「非常にずる賢いタイプですね!」と顔を赤くしていた。

一方で長澤は「そこに便乗していいですか?」と笑いつつ「長澤まさみはどうでした?」と役所を直撃。役所から「ものすごく綺麗ですよ!」と褒められると「ありがとうございます!」と笑顔に。続けて役所が「綺麗なだけじゃなくてね、長澤さんが扮するテレビプロデューサーが、この(仲野)テレビマンに啖呵を切るシーンがあるんだけど、まずハイヒールで全速力で走るのがすごい。その後の演技も迫力があってすごかったですね。思わず『その通り!』と共感してしまいました」と演技もべた褒めし、長澤は大喜びだった。

最後に仲野は「この映画は人間の善意について考えさせられると思いました。人間にはまだまだ善意はあるし、手を差し伸べることができる。今は不寛容な社会になってしまっていますが、自分たちの出来る限りの善意を感じてもらいたい」、長澤は「この映画で描いているように世の中には生きづらさを感じている人がきっといっぱいいるんだと思います。そういう人たちにこの作品を通して、自分の考え方はこれでいいんだろうか?と自問自答するきっかけを与えてくれる作品であると思います。また、人によって感じ方はそれぞれ違うと思いますが、最後にはあたたかい気持ちが残る作品になっています」、役所は「この映画を観ていただくと、心のどこかでホッと晴れ晴れするような気持ちになるはず。気に入っていただけたら色々な方々に勧めてほしい」と本作をアピールした。

また、仲野太賀と長澤まさみの出演シーンの本編映像が解禁された。

本編映像

映画『すばらしき世界』は2021年2月11日(木・祝)より全国で公開!
脚本・監督:西川美和
出演:役所広司、仲野太賀、六角精児、北村有起哉、白竜、キムラ緑子、長澤まさみ、安田成美/梶芽衣子、橋爪功
配給:ワーナー・ブラザース映画
©佐木隆三/2021「すばらしき世界」製作委員会