『神在月のこども』の初日舞台挨拶が10月8日(金)にイオンシネマ板橋で行われ、蒔田彩珠、井浦新、新津ちせ、神谷明、白井孝奈(アニメーション監督)、四戸俊成(原作・コミュニケーション監督)が登壇した。

日本各地で“神無月(かんなづき)”と呼ばれる10月が、出雲では“神在月(かみありつき)”と呼ばれる由縁。全国の神々が出雲に集い、翌年の縁を結ぶ会議“神議り(かみはかり)”を行うという云われを題材として、人々と神々、各地と出雲、そしてこの島国の根にある“ご縁”という価値観をアニメーションに描く本作。少女の名はカンナ。母を亡くし、大好きだった“走ること”と向き合えなくなった少女。そんな彼女のもとへ、一羽のうさぎ(シロ)と、一人の少年(夜叉)が現れ、出雲までの旅にカンナをいざなう。まわりはじめた神々の歯車。人々と神々の境界をまたぎ、出雲へ走る少女の旅がはじまる―。主人公・カンナ役を蒔田彩珠、神使の兎・シロ役を坂本真綾、⻤の少年・夜叉役を入野自由が演じる。

構想8年という時をかけて完成した本作について、四戸が「僕らは2013年に、この日本の魅力をアニメーションの力で世界に届けることを目指して、2020年のオリンピックの公開を予定していたんですが、それが延期となって2021年になりました。やはり東京から出雲まで走る少女を描くということで、日本に来られない方や、まだ旅行ができない方々にも楽しんでいけたらと思っているので、ようやく今日届けることができてしあわせです」と語ると、白井監督も「映像が完成してから今日までソワソワしていました。たくさんの方の手を借りてできあがった映画なので、関係したすべての方に感謝しています」と感謝の言葉を口にした。

主人公・カンナを演じた蒔田は「延期が続いていたので、ちゃんと皆さまにお届けできるのかなと不安に思っていたんですけど、でも(公開までの)時間があったからこそ、いろんな場所に行けたり、たくさんのイベントができたので。そこは良かったなと思います」と切り出すと、「さっきから(新津)ちせちゃんがすごく緊張していて。私もその緊張が移っています」と笑顔を見せた。その言葉に「すみません!」と続けた新津は「初日ということで心臓がバクバクしています」と語ると、会場を沸かせた。

続いてカンナを男手一つで支える父親・葉山典正を演じた井浦は「個人的に出雲や、日本の神話にとても興味があるので、この作品に声をかけていただいたことが本当にうれしくて。ただ最初はてっきり自分が好きな神話の住人たちの誰かをやるのかなと思ってワクワクしていたんですけど、ふたを開けたら人間で。正直、ものすごいテンションが落ちたんです」と冗談めかして明かすと「でもうれしいことに、カンナの声を演じた(蒔田)彩珠さんとは共演経験もあったんですけど、今回、娘と父という関係で演じさせていただけたのは本当にうれしかったです。違う作品では対峙する役だったりしたので。年齢的には親子の役はできるだろうなというイメージはあったんですけど、こんなにも早く再会できたのはとてもうれしかったです」と笑顔を見せた。

そして井浦は蒔田のことを「末恐ろしい」と感じているようで「きっとオリジナルなんですよね。誰っぽくもないし。彩珠さんは彩珠さんにしかできないことを持っているから、どんな現場で共演したとしても、きっと見たことがない彩珠さんが目の前にいるんだろうなと思いました」とコメント。蒔田も「井浦さんとやっと仲のいい役で共演できるんだというのがあって。収録を楽しみにしてたんですけど、収録は別々だったので。今日はお会いできてうれしいです」と続けた。

神谷も「時期が時期ということで、別々に収録するのはやりにくかったんじゃないかなと思いましたけど、できあがった作品を観たら、そんな心配はふっとんでしまいました。僕は無理を言って、この作品を何度も見ているんですが、観るたびに常に新しい発見があって。いい作品だなと思っているので、ぜひその感覚を味わっていただけたらと思います」と絶賛。
 
さらに幼少期のカンナの声を務めた新津も収録が別だったことが残念だったということで「アフレコの時に蒔田さんや井浦さんといっぱいおしゃべりできるのかなと思っていたら誰もいなくてさみしかったけど。でも白井監督とか、四戸さんとかがこんな風に言ってこらんとアドバイスをくれたので。元気に演じられて良かったなと思います」と述懐。四戸も「そうは言うけど、ブースでは音響監督が、天才とはこういうことだなと。末恐ろしいという意味では、蒔田さんと並んで末恐ろしいです」と“二人のカンナ”を絶賛するひと幕も。

舞台挨拶では、サプライズで出雲式の勾玉のブレスレットをプレゼント。父親の顔をのぞかせる井浦に、蒔田もうれしそうに「お父さんみたい(笑)ありがとうございます」笑顔を見せた。最後に蒔田は「この映画が初めての声のお仕事だったんですけど、ひとりずつで収録することになったりして、時間もかかったりして本当に大変で。何度も無理だなと思ったんですけど、でもカンナのキャラクターに声を入れていく段階でカンナが前を走りだす姿を自分で演じているうちに、自分も頑張ろうと思ったので。この映画を観た方が同じように勇気づけてもらえたらいいなと思っています」とメッセージを送った。

映画『神在月のこども』は2021年10月8日(金)より全国で公開!
出演:蒔田彩珠、坂本真綾、入野自由、柴咲コウ、井浦新、新津ちせ、永瀬莉子、高木渉、茶風林、神谷明
配給:イオンエンターテイメント
©2021 映画「神在月のこども」製作御縁会