第13回TAMA映画賞授賞式が11月21日（日）に府中の森芸術劇場どりーむホールで行われ、最優秀新進監督賞を受賞した藤元明緒監督、松本壮史監督が登壇した。

TAMA映画賞は、前年10月から当年9月に一般劇場で公開される作品及び監督・キャスト・スタッフを対象に、市民ボランティアの実行委員が選考し、「明日への元気を与えてくれる・夢をみせてくれる活力溢れる＜いきのいい＞作品・監督・俳優」を、映画ファンの立場から表彰する。

本年度最も飛躍した監督、もしくは顕著な活躍をした新人監督を表彰する最優秀新進監督賞を受賞したのは、『海辺の彼女たち』の藤元明緒監督、『サマーフィルムにのって』『青葉家のテーブル』の松本壮史監督。

『サマーフィルムにのって』の松本壮史監督は「一緒に映画を作った伊藤万理華さんと金子大地さんと一緒に受賞できて、立てていることをうれしく思います。2人の命を燃やすすようなショットを撮れた時に、このために生きていたんだと思いました」と感謝の気持ちを口にし、さらに「スタッフ全員、俳優全員が健康でハラスメントもなく、楽しく刺激的な創作の現場に居続けられるように願っています」と語った。「僕の高校時代は重なる部分がほぼないんです」という松本監督は「（自身の）希望は含まれていると思います」と本作について語った。

出演した伊藤万理華と金子大地も再び登壇。「愛情に包まれていた現場」と振り返る伊藤だが、松本監督は2人の俳優に「それぞれのワンカットの力強さだったり、ワンカットに込めるものが僕の想像をはるかに超えるものだった」といい、「2人の才能だと思っています」と称賛した。ラストシーンでは「（伊藤の）覇気がすごかった」という松本監督、金子は「圧倒されっぱなし。伊藤さんの表情がよくて、“次僕の表情どうしたらいいんだろう”って」と戸惑いもあったほどだったという。俳優陣からも現場の雰囲気の良さを挙げられた松本監督は「これからも楽しい映画を撮っていきたいです」と意気込みを語った。

同じく受賞した『海辺の彼女たち』の藤元明雄監督は「映画ファンや市民の方々からいただける賞は、作り手にとって最上級に嬉しいです」と受賞を喜びをみせた。在日外国人の視点に立って映画作りを行う藤元監督は「きっかけは、友人に海外のルーツの方が多かったり、ミャンマーの方と結婚したり。日々の日常で感じたことがきっかけなのかなと思います」と明かし、海外との合作については「僕は日本語しかしゃべれないので、俳優の方が何を言っているのか、芝居が分からないんです。『海辺の彼女たち』は90％ベトナム語で、判断がつかないままOKを出しちゃって。初日に撮ったシーンがお金がかかってたんですけど使えなかった」と苦笑する場面も。

また、藤本監督は8年前にミャンマーで占ってもらった際に「43歳になったら世界的に有名な監督になるって占いが出て。あと10年後に43歳なので、その頃にはカンヌに行けるように、目指せる監督になれればいいなというのがあります。逆に言えば10年間苦労するってことになるので、応援してくれるつもりで来てくれると嬉しいです」と意気込みを語った。

【写真・文／編集部】