両耳が聞こえないプロボクサーと、視力を失いつつあるトレーナーの交流を描いた映画『ケイコ 目を澄ませて』の場面写真が解禁された。

本作は、聴覚障害と向き合いながら実際にプロボクサーとしてリングに立った小笠原恵子さんをモデルに、彼女の生き方に着想を得て、三宅唱監督が生み出した物語。ゴングの音もセコンドの指示もレフリーの声も聞こえない中、<目を澄ませて>闘うケイコの姿を、秀でた才能を持つ主人公としてではなく、不安や迷い、喜びや情熱など様々な感情の間で揺れ動きながらも一歩ずつ確実に歩みを進める等身大の一人の女性として描き、彼女の心のざわめきを16mmフィルムに焼き付けた。主人公・ケイコを演じた岸井ゆきのは、厳しいトレーニングを重ねて撮影に臨み、新境地を切り開く。そして、ケイコの実直さを誰よりも認め見守るジムの会長に、日本映画界を牽引する三浦友和。その他、三浦誠己、松浦慎一郎、佐藤緋美、中島ひろ子、仙道敦子など実力派キャストが脇を固める。ケイコの心の迷いやひたむきさ、そして美しさ。全てを内包した彼女の瞳を見つめているうちに、自然と涙が込み上げてくる――。

今回解禁された場面写真は、会長(三浦友和)がケイコ(岸井ゆきの)に自分の被っていた帽子を譲り渡すシーンをおさめたもの。ケイコと会長の絆のアイコンともいえる「ピンクの帽子」について、映画ファンの中には、『トップガン』等で知られるトニー・スコット監督へのオマージュではないかという考察の声も挙がっている。

三宅監督は度々、取材の中で影響を受けた作品等としてトニー・スコット監督作品について言及。「文春オンライン」のインタビュー内では「ケイコにとっての会長は、自分は絶対にこの人についていくぞ、と決めている存在ではある。自分もまた同じようにリスペクトしている上の世代の人たちの一人として、トニー・スコットがいるわけで。直接会ったこともないし、師匠でもなんでもない遠い存在ではありますけど、尊敬する彼のアイコンとしてピンクの帽子があることは、もしかしたらこの映画にもどこかで影響しているかもしれません」と語っている。

また、本日発表された「第77回毎日映画コンクール」では、日本映画大賞・日本映画優秀賞、女優主演賞、男優助演賞、監督賞、撮影賞、録音賞の6部門にノミネートされており、今後の国内映画賞レースへの選出にも期待が高まる。

『ケイコ 目を澄ませて』は2022年12月16日(金)よりテアトル新宿ほか全国で公開!
監督:三宅唱
出演:岸井ゆきの、三浦誠己、松浦慎一郎、佐藤緋美、中原ナナ、足立智充、清水優、丈太郎、安光隆太郎、渡辺真起子、中村優子、中島ひろ子、仙道敦子/三浦友和
配給:ハピネットファントム・スタジオ
©2022 映画「ケイコ 目を澄ませて」製作委員会/COMME DES CINÉMAS