『かがみの孤城』のティーチイン上映会が1月27日(金)に新宿ピカデリーで行われ、原恵一監督、原作者の辻村深月が登壇した。

2018年本屋大賞受賞、累計発行部数170万部突破の辻村深月による大ベストセラー小説が待望の劇場アニメ化した本作。主人公は、学校での居場所をなくし家に閉じこもっていた中学生・こころ。ある日突然、部屋の鏡が光り始め、吸い込まれるように鏡をくぐり抜けると、その先にあったのは城のような不思議な建物。そこには、こころと似た境遇の7人が集められていた。城の中には秘密の「鍵」が隠されており、その鍵を見つけた者は、何でも願いが叶うという。なぜこの7人が集められたのか。鍵はいったいどこにあるのか。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる―。

映画の余韻が冷めやらぬ中、温かい拍手に包まれながら登壇した原恵一監督と辻村深月。公開から1か月以上が経ち、原監督は「観た人の熱気でしょうか、会場がとても暖かいです」と挨拶、辻村は「たくさんの方々に観ていただけて胸がいっぱいです。そして第46回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞の受賞おめでとうございます」と気持ちを語った。

本作の大ヒットの反響を受けて、原監督は「鑑賞者からの感想も嬉しいが、原作を担当した辻村さんから『私が思い描いていたものがそこにありました』と言っていただけたことが嬉しかった」と語り、辻村が「子供の頃、原さんのアニメを観て育ったので、今回一緒にお仕事ができて嬉しかったです。また、話題になっているエンドロールなど、様々なアイディアで原作を超えたものを作っていただけて、お客様を喜ばせるために最後の最後まで粘る演出など仕事ぶりを間近で観ることが出来て幸せでした」と明かした。イベントでは原監督が実際に使用したアフレコ台本を公開。脚本にはなかったセリフを原監督が直筆で追加しているシーンなど、なかなか観ることのできないものをスクリーンに投影し、客席からは感動の声が洩れた。

そして、ティーチンでは観客からの質問に原監督と辻村が回答。「共感するシーンがたくさんありましたが、学校に行けないと心情は、なぜあんなに明確に描くことができたのでしょうか」という質問に辻村は「自分自身、学校生活がすごく充実して楽しく過ごした学生時代ではなく、きっと順風満帆な学生生活を送っていたら学校を舞台にした作品を書かないと思います。私の小説で学校を舞台にした作品が多いのは、きっと何か忘れ物があるから、何度も書いてしまうのかなと思います」と明かし、原監督は「学校に行けない子たちに『学校に行きなさい』という言うわけではなく、『今は何もしない時なんだね』という言葉をかけられる大人や周りの友達がいることが大事で、傍観者が話を聞いてあげて欲しいというメッセージが原作や映画に込められている」と今悩んでいる人やその周りにいる人へ、本作に込めた想いを明かした。

また「『バカみたい』というセリフが、複数のシーンで使われていて、それぞれ異なる意味合いで使われていた点が印象に残っています」という感想に、辻村は「終盤の『バカみたいだよね、たかが学校のことなのにね』という東条さんのセリフは、同じ中学生なのに、外側からの視点を持っている子のことを書けて良かったなと思いましたし、私自身本を書きながら驚かされました。この言葉が心に残ったと言っていただけて嬉しいです」と答えた。

原監督は「こころと東条さんのシーンは作りながら僕も気に入っていて、東条さんの『たかが学校のこと』というセリフは学生に届いて欲しいセリフです。学校生活より社会に出てからの時間の方がよっぽど長く、今学校に行けてなく悩んでいる人に、『辛い時間は永遠には続かないよ』と言ってあげたい」と語った。また「たくさんの伏線が張り巡らされた作品ですが、気を配られた点はありますか。」という質問について、SNS上で話題になっている高山みなみさん演じるマサムネが言った某名探偵の決め台詞に関して、「単なる悪ふざけではなく、あれもちゃんとした伏線です。後付けですけど(笑)」と明かし、伏線の理由を説明。また、前半と後半のこころの靴の描き方に変化をつけることで、こころの心情を表現している点も注目してほしいと明かした。

最後に、辻村は「映画になって、多くの人に届いて嬉しいです。こころたちを原さんにお願いしてよかったです。2回目を観ると気づくことがたくさんあり、自分で書いたのに色んなポイントで涙が出ます。何度観ても驚きがあって、何年先にも残るアニメーションになりました」と語り、原監督は「この原作はすごく共感をしてくれる物語で、たくさんの人に観ていただけてとしても嬉しかったです。こういうトークショーは楽しいです」と挨拶した。

【提供写真・オフィシャルレポート】

『かがみの孤城』は全国で公開中!
監督:原恵一
声の出演:當真あみ、北村匠海、吉柳咲良、板垣李光人、横溝菜帆、高山みなみ、梶裕貴/芦田愛菜/宮﨑あおい
配給:松竹
©2022「かがみの孤城」製作委員会