現代のサイバー戦争の脅威をリアルに描くスパイサスペンス・ドラマ『GCHQ:英国サイバー諜報局』に出演するサイモン・ペッグのインタビューが到着した。

GCHQ(政府通信本部)とはイギリスの諜報、サイバー、セキュリティ機関。前身は第一次世界大戦後の1919年、ブレッチリー・パークに作られたGCCS(政府暗号学校)で第二次世界大戦時に天才数学者アラン・チューリングが中心となりドイツ軍の暗号「エニグマ」の解読に成功したことで知られている。今年の5月、104年の歴史上初の女性長官が就任したことが大きなニュースとなった。
 
本作は2024年、総選挙を控えた英国を舞台に、ロシアによるサイバー攻撃を受け混乱に陥ったGCHQのサイバー諜報員チームとロシアのハッカーたちとの攻防をスリリングに描くスパイサスペンス。サイモン・ペッグ(『ミッション:インポッシブル』シリーズ・ベンジー役)や、マーク・ライランス(『ブリッジ・オブ・スパイ』、『ボーンズ アンド オール』)など英国を代表する俳優が出演し、ハッキングやフェイクニュース、ロシアによる他国の選挙介入や機密情報のリークなど、現代のサイバー戦争を徹底調査のもと、不気味なほどリアルに捉えた衝撃作だ。

今回、本作でGCHQの作戦本部長ダニー・パトリック役を演じるサイモン・ペッグのインタビューが到着した。

――『GCHQ:英国サイバー諜報局』のストーリーを教えてください。
『GCHQ:英国サイバー諜報局』は、サーラ・パーヴィンという若い学生が、自分の人生の大きな節目である時期にGCHQでインターンをする話です。世界的な大事件とサーラのプライベートな出来事が描かれています。

――ダニーというキャラクターについて簡単に教えてください。
ダニー・パトリックはGCHQの作戦本部長で、多くの情報専門家やハッカーと、GCHQ長官であるデヴィッド・ニール(アレックス・ジェニングス)との接点となっています。ダニーはGCHQのスタッフにとって父親のような存在です。とても外交的で、スタッフや自分の仕事をとても大切にしています。彼は公平でスタッフの信頼も厚いのですが、自身は常に重責を感じています。

――ダニーという役柄のどこに魅力を感じましたか?
まず、ピーター・コズミンスキーとの仕事だったことです。私はコメディのイメージが強いので、このようなシリアスなドラマの役柄をオファーされたことが光栄でした。実は脚本を読むのが得意ではなく、特に長編は苦手なのですが、この作品は6時間ものなのに1日で読み終えたんです。ダニーというキャラクターがとても魅力的で、即決でした。この役をいただけたことを本当に光栄に思いました。

――ダニーを演じる上で、最も苦労されたことは何ですか?
ダニーはその分野のエキスパートであり、GCHQで長く働き、出世してきたため、非常に知識が豊富です。そのため、GCHQでの物事の進め方に関する権威と知識を確実に伝えたいと思いました。とても難しいことですが、やりがいがある、とても楽しいことです。苦労したことは、コンピューターとスクリーンでいっぱいの部屋はとても暑くて少し汗ばんだことかな!

――このプロジェクトを通して学んだことは何ですか?
本当にたくさんのことを学びました。子供の頃、GCHQは身近だったんです。実は叔父が2人GCHQで働いていたのですが、仕事の詳細は教えてもらえなかったので、何をやっているのか知りませんでした。兄は今のGCHQの本部の電気工事を担当していましたが、当然のことながら、そこで何が行われているのか、どんな仕事内容なのかはまったく知る由もありません。このドラマに出演してサイバー社会について、多くのことを学びました。
サイバー戦争の脅威が身近になってまだ20年ほどしか経っていませんが、その現状、対応策、そのための準備などを学ぶことができ、本当に勉強になりました。サイバー戦争は、人々が本当に知っておくべきもので、今や紛争の非常に現実的な領域です。ソーシャルメディアにアクセスすると、話している相手の多くが実在しないこと、世の中には多くのプロパガンダが存在すること、社会における真の反対意見を阻止するためにエコーチェンバー現象が助長されていることを意識しなければならない。これは本当に勉強になりました。
※エコーチェンバー現象:SNSなどの狭いコミュニティの中で自分と同じ意見を見聞きし続けることで、自分の意見が増幅・強化されること

――『GCHQ:英国サイバー諜報局』の中で、特に心に響いたテーマはありますか?
私は、このドラマのミクロとマクロの両方の物語が大好きです。主人公のサーラ(ハナー・ハリーク=ブラウン)は、家族、恋人、新しい友人、権力者との関係において、大きな人生の激変に耐えています。一方、この国もまたある意味で目覚め、自分たちがいかに別の権力に翻弄され、操作されているかに気づく。
この2つの物語の対比が絶妙で、互いに作用し合っています。サーラが英国への陰謀に関する些細なことを発見し、それが国を救う極めて重要な役割を果たすという事実が、見事に機能しています。その過程が彼女の頭の中の世界、“コードワールド”の中で実にうまく展開されていて、とても美しく構成されています。

――ジリアン・デヴニー(プロダクション・デザイナー)が作り上げた素晴らしいセットでの撮影はいかがでしたか?
ジリアンのプロダクション・デザインにはとても感心しました。信じられないほど印象的です。特に舞台の中心となるGCHQのオフィスはまるで「巨大な脳」で、スクリーンやコンピューター、そしてお菓子で埋め尽くされた広大な部屋でした。あらゆる場所にお菓子が置いてあって面白いと思いました。
COBR(内閣府ブリーフィングルーム)の部屋は、いかにも深刻なことが起こる場所と感じられ、実際こうなんだろうなと納得させられました。ジリアンは素晴らしい仕事をしたと思います。

――ピーター・コズミンスキーとの仕事はいかがでしたか?
ピーターは台詞を書くのがとても上手で、シーンが長いこともあり、舞台劇のような感覚になります。自分の台詞が迫ってきて、一か八かという感じなのですが、私はその緊張感が好きで、彼の書いた台詞が大好きでした。
監督として、彼は、私がこれまで仕事をした中で、最も親切な“アクターズディレクター”の一人です。彼は、役者の役作りのプロセスに非常に敏感なのですが、自分がやりたいことは正確に理解しています。彼は近づいてきて「君が考えていることはこれとこれだと思うんだけど…」と、導いてくれるのでとても助かります。監督というのはそういうものだと思うのですが、本当に素晴らしい。台詞の読み方を教えてくれるわけでもなく、どうやるかを教えてくれるわけでもなく、キャラクターの頭の中で何が起こっているのか、彼の考えを教えてくれて、100%それに同意してくれる。彼のその繊細さが、撮影現場の士気を保っていて、スタッフからも俳優からも愛されていますし、頭脳明晰で、作品に対する熱意と情熱が作品全体に浸透しているのです。

――作品としての『GCHQ:英国サイバー諜報局』の魅力は何でしょうか?
『GCHQ:英国サイバー諜報局』は、私にとって一視聴者としても楽しい作品で、みなさんも魅了される作品だと思います。
この作品は、非常に人間的な物語であると同時に、もっともっと大きな国家的な物語に視聴者を引き込みます。観ていて汗が噴き出し、首の後ろの毛が逆立つような感覚に陥るのは、登場人物たちが置かれた状況が、信じられないほど現実的であり、あり得るものだからです。2024年という時代設定でありながら、現実離れしておらず、むしろ現実のように感じられる。
冷戦の影で育った私は、1980年代に放送された『SF核戦争後の未来・スレッズ』という核戦争がテーマのテレビ映画がとても怖かったんですが、それを思い出しましたね。

――『The Undeclared War(=原題)』について、どのような言葉を思い浮かべますか?
「gripping(手に汗握る)」「absorbing(吸い込まれる)」「fascinating(魅力的)」。
例えば、Twitterのボット、ヴァディーム(ゲルマン・シガール)が働いている場所(グラヴセット)では、ロシア人がイギリス人のふりをしてTweetしているのですが、そんなことがあるんですね、知らなかったです。吸い込まれるような、手に汗握るような、魅力的な作品です。

『GCHQ:英国サイバー諜報局』
【配信】Amazon Prime Video チャンネル「スターチャンネルEX -DRAMA & CLASSICS-」
<字幕版>独占配信中(毎週月曜1話ずつ更新) 
配信ページ: こちら
【放送】BS10 スターチャンネル
<STAR1 字幕版>8月15日(火)より毎週火曜23:00ほか
※8月5日(土)14:00より字幕版 第1話先行無料放送
<STAR3 吹替版>8月17日(木)より毎週木曜22:00ほか
作品公式サイト: こちら
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