この夏に観たい、観客に小さな夢と大きな感動を与える作品―『イン・ザ・ハイツ』。

ニューヨーク、“ワシントン・ハイツ”は、道端に置かれたラジカセ、アパートの窓、カーラジオなどからいつも音楽が流れる、実際にある賑やかな移⺠の街。その街で育ったウスナビ、ヴァネッサ、ニーナ、ベニーはつまずきながらも自分の夢に踏み出そうとしていた。ある時、街の住人たちに住む場所を追われる危機が訪れる。これまでも幾度と様々な困難に見舞われてきた彼らは今回も立ち上がるが―。突如起こった大停電の夜、街の住人たち、そしてウスナビたちの運命が大きく動き出す。

原作者のリン=マニュエル・ミランダは本作をプレゼンした際「ワシントン・ハイツの路地を連想させるサウンドトラックにしたい」と話したそうだが、その通りサルサやメレンゲ、R&Bやポップなど様々な音楽で彩られ観ているものを飽きさせず、圧巻のダンスシーンでテンションを最高潮まで上げてくる。冒頭8分間の曲が公開されているがそれがピークだと思ってはいけない!他にもニューヨークの公営プールで撮影されたシーンでは500人を超えるキャストとエキストラが集結するなど、どのシーンも時間を忘れるほど楽しませてくれ、143分間最高の曲と物語と共に過ごすことができる。

また、原作者ミランダ自身の故郷でもあり、生い立ちを脚本に組み込んでいるためキャラクター一人一人の物語が心に響く作品となっている。さらに、ブロードウェイ公演で主人公のウスナビを演じたミランダが本作では、ピラグア(プエルトルコ式のかき氷)売りのピラグア・ガイとして出演しているのも見どころのひとつ!

そんな本作は知名度を問わず役に適した役者を集めたという。主人公ウスナビに選ばれたのは、ミランダとも共演経験があるアンソニー・ラモス。トニー賞受賞ブロードウェイ・ミュージカル「ハミルトン」で、オリジナルキャストとしてジョン・ローレンスとフィリップ・ハミルトンの二役を演じ分けたことでも有名な実力派俳優でありアーティスト。ワシントン・ハイツのリーダー的存在であり、皆の幸せを願いつつ自らの夢を持ち自分のホーム(故郷)とは何かを悩む重要な役どころを演じている。また、ワシントン・ハイツの希望を背負い大学へ進学したニーナ・ロザリオ役にはラテン・グラミー賞ノミネート歴もあるレスリー・グレイスが見事に演じ、ニーナの心の葛藤を透き通るような歌声で表現している。他にも街の育ての親アブエラ・クラウディアにはブロードウェイで初代アブエラを演じたという、オルガ・メレディスなど本作への想いが強いキャストが集結している。

また、様々な文化が触れ合っているワシントン・ハイツのように、移民や故郷の国というものは日本人には少し馴染みがないがホームとはなにか、普通の生活とはなにか、考えさせられる内容となっている。この時代のこのご時世だからこそ、家族をも超える隣人の大切さを気づかせてくれる。
原作者ミランダがワシントン・ハイツでの撮影では地元住民と出演者の見分けがつかなかったと明かしているがそれほどリアルで出演者、スタッフだけでなく地元住民の情熱と愛情が伝わってくる作品だ。今の日本をラテンビートで明るく照らしてくれるに違いない。

【文/編集部】

映画『イン・ザ・ハイツ』は2021年7月30日(金)より全国で公開!
監督:ジョン・M・チュウ
出演:アンソニー・ラモス、コーリー・ホーキンズ、レスリー・グレース、メリッサ・バレラ、オルガ・メレディス、ジミー・スミッツ
配給:ワーナー・ブラザース映画
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