『ファースト・マン』のプロモーションでコラボしている『宇宙兄弟』ファン限定の特別試写会イベントが1月25日(金)に都内で行われ、ニール・アームストロングの息子、マーク・アームストロングが登壇した。

小山宙哉による漫画『宇宙兄弟』のファンが所属する「コヤチュー部」限定で行われた今回の試写会イベント。イベントが始まると、実際に人類初の月面着陸を果たしたアポロ11号の船長ニール・アームストロングの実の息子のマーク・アームストロングがサプライズで登場。客席からは驚きの声とあたたかな拍手が巻き起こった。

マークは「まず前提として、僕はこの映画が全編通して大好きなんだ」と笑顔を見せ、注目してほしいシーンについて「お気に入りのシーンが2つあって、まずはジェミニ計画で初めて宇宙船同士がドッキングをするシーン。このミッションでは途中である問題が起き、15分~30分くらいの間スペースシップがものすごいスピードで回転してしまうんだ。映画を観ればわかる通り、父のニールと一緒に搭乗していた宇宙飛行士のデイヴィット・スコットは命に関わる危険な状態だった。実はこのトラブルはNASAから詳しい情報としては出ていないんだけど、問題が巻き起こっている間も父は取り乱すことなく冷静に対応し、無事に地球に戻ってくることができた。父がアポロ計画の船長に抜擢されたのには様々な理由があるけれど、このミッションで功績を残したこともその一つだと思っているんだ」と明かす。

続けて「2つ目のシーンは父がアポロ計画のために家を離れる直前に家族とダイニングで話すシーン。この映画が実写化される前にこのエピソードが世に出たことはないんだけど、チャゼル監督に話したことで、実際に映画に取り入れることになった。当時は家族でダイニング集まるということはなくて、おしゃべりをするときはリビングにいたし、ご飯を食べるときはキッチンだった。だから母にダイニングに招集されたときは怒られるのかなと思ったんだ(笑)それに父に“月に行く”といわれても当時の僕は全く不安には感じていなくて、危険なものだとは微塵も思っていなかった。大人になってからわかるけど、当時の母は僕たちに危険なことや恐ろしいことだということを一切感じさせなかった。この映画は『ファースト・マン』というタイトルだけど、実はその背景に宇宙飛行士を支えた妻たちの姿があり、家庭を守るヒーローのお話であると思っているよ」と自身の思い出とともにコメントした。

また、映画化のオファーが来た時のことを「映画が完成する3年前から僕らは映画製作には携わってきた。映画をサポートするメンバーのなかには、僕の兄(リック)や母(ジャネット)のほかにも、父のニールともにアポロ11号に搭乗した宇宙飛行士のマイク・コリンズなど大勢の人たちがいた。主演のライアン・ゴズリングやクレア・フォイ、そして監督のデイミアン・チャゼルは、この映画が“どうやったら売れるか”ではなく、“いかに事実に忠実に描けるか”ということを重視してくれていて、彼らのその思いを熱く感じるたびに映画に協力したい気持ちが強くなったんだ」と振り返った。

一方で「チャゼル監督や脚本家のジョシュ・シンガーが宇宙飛行のミッションの様子と家庭の物語の両方をバランスよく取り入れて素晴らしい映画に仕上がっているよ」と太鼓判を押したうえで、「だからこそ重厚で、シリアスなシーンが多くなっているけど、普段の父はもっと面白くて、いろんな面を持った人だったから2時間とは言わず、もっと長く作ってほしかったな(笑)」と、父への尊敬と愛ゆえの本音も漏らした。

最後にマークは「一番に知ってもらいたいのは、アポロ計画は非常に危険で難しいことだったということ。無謀なミッションだということが事前にわかってしまうとサポートもなくなってしまうから、NASAはそのようなシーンをあまり見せたくないのかもしれないけど、実際は努力や忍耐が必要だったことを映画から感じてもらいたいな。そして、この映画は父の話でもあるけど、月面着陸計画に携わった40万人それぞれが小さな仕事をして、すべてが積み重なったからこそ無事に成功した計画なんだ。父だけの努力だけでなく、携わったみんな全員のおかげで出来たことなんだ。きっと父がいたらみんなに同じことを言うと思うよ」とメッセージを寄せた。

人類の夢であり、未来を切り開いた月面着陸計画―。その史上最も危険なミッションを成功に導いたアポロ11号船長アームストロングの視点で壮大なスケールで描いた本作。原作は、ジェイムズ・R・ハンセンの同名著書。「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」―。この名言を残したアポロ11号の船長ニール・アームストロング役をライアン・ゴズリング、アームストロングの妻ジャネット役をクレア・フォイが演じる。監督は最年少記録となるアカデミー賞監督賞を受賞したデイミアン・チャゼル。

映画『ファースト・マン』は2019年2月8日(金)より全国で公開!
監督:デイミアン・チャゼル
出演:ライアン・ゴズリング、クレア・フォイ、カイル・チャンドラー
配給:東宝東和
©Universal Pictures