企画・監督・脚本 宮藤官九郎『季節のない街』の第一弾キャストとして、主演・池松壮亮、共演に仲野太賀、渡辺大知の出演が発表された。

本作は、宮藤官九郎が長年温めてきた企画で、山本周五郎の小説「季節のない街」を映像化。この小説は、黒澤明監督が映画化し、『どですかでん』のタイトルで1970年に公開されたことでも知られる不朽の名作。誰もがその日の暮らしに追われる、裕福とはいえない“街”を舞台に弱さや狡さを隠さずに逞しく生きる、個性豊かな住人たちの悲喜を紡いだ物語である。この傑作小説をベースに、本作では、舞台となる「街」を、12年前に起きた“ナニ”の災害を経て建てられた仮設住宅のある「街」へ置き換え、現代の物語として再構築。希望を失いこの「街」にやってきた主人公が、「街」の住人たちの姿に希望をみつけ、人生を再生していく青春群像エンターテイメントとして描く。宮藤が、映像作品の監督を手がけるのは映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』(16)以来。

今回、池松壮亮、仲野太賀、渡辺大知の出演が発表された。主人公・田中新助こと半助役を演じるのは、『シン・仮面ライダー』で主演を務めるなど話題の公開作が相次ぐ池松壮亮。池松の宮藤組への参加は、宮藤が脚本を担当した作品ふくめて初めて。半助とともに物語を中心で支えるタツヤを演じるのは仲野太賀。宮藤が作・演出する現在上演中の舞台ウーマンリブvol.15「もうがまんできない」にもメインキャストとして出演中で、宮藤が脚本を手がけた「ゆとりですがなにか」の演技も高く評価される。そして、そのタツヤが率いる街の青年部のメンバーで、酒屋の息子・オカベを演じるのは、ミュージシャンでありながら、その存在感で俳優として活躍の場を広げる渡辺大知。バンド「黒猫チェルシー」の活動で宮藤とは旧知だが、俳優として宮藤作品に参加するのは「いだてん~東京オリムピック噺~」ぶりとなる。

“ナニ”から12年―。この街には、“ナニ”で被災した人々が身を寄せる仮設住宅があり、今もまだ、18世帯ものワケあり住人が暮らしている。だが、月収12万超えると「即立退き」とあって、皆ギリギリの生活を送っていた。主人公の田中新助こと半助は、街の人々の暮らしぶりを報告するだけで報酬がもらえるとあって、1匹の猫とともに街にやってきた。ワケあり住人らとともに生活するうちにどんどんこの街を好きになっていた。そんな中、仮設住宅が取り壊されるという噂が街に流れはじめるのだが…。タツヤに誘われ、半ば強引に青年部にいれられた半助は、タツヤとオカベのおかげで街に溶け込んでいく。池松、仲野、渡辺の初共演となるフレッシュな組み合わせが物語を牽引する。

池松壮亮(半助(田中新助)役)コメント

宮藤官九郎×山本周五郎×どですかでん×ディズニープラスというもの凄い組み合わせへの参加に心がときめきました。
宮藤さん、横浜さん、渡辺さん、素晴らしい3名の監督たちと、素晴らしいスタッフキャストと共に、あの街で2ヶ月半を過ごしました。
もうなくなってしまったあの街のことを、今なお恋しく思います。あの街にはどうしようもない人たちしかいませんが、みんな大して抜け出そうともせず、むしろしっかり生き生きと楽しんでいます。またあの街には良くないことばかりが起こりますが、目に見えない大切なことによって、底辺からのイマジンによって世界がつなぎとめられ、ささやかに美しく輝き続けます。時代の大きな変化の中で、物語の力と、あの街を信じて、無くなってしまうことへのささやかな抵抗になればと思いました。
あるところに、街があった。宮藤官九郎版、季節のない街、どうぞご期待ください。

仲野太賀(タツヤ役)コメント

宮藤さんが「どですかでん」?主演が池松壮亮?しかもディズニープラスで?
なんだそれ、そんなの絶対面白いに決まってるじゃん!と、お話を頂いた時に興奮したのを覚えています。蓋を開けてみると、邦画を代表するようなアベンジャーズみたいなスタッフ陣と、最高に素敵な俳優が集まって、仮設住宅で2ヶ月半の缶詰状態。右見ても左見ても面白い人ばかりで、才能の大渋滞。俺この中でやってけるかな…と思いつつも、与田タツヤという素敵な役を演じさせて頂きました。
これは人間讃歌の物語です。笑って泣いて、踊って、ぶち切れて。悲喜交々の全部入りです。どうか楽しみにしていてください!

渡辺大知(オカベ役)コメント

宮藤さんの脚本作品に初めて参加させてもらったんですが、読むことが楽しくてずっとワクワクしながらページをめくっていました。次から次へと個性溢れる魅力的なキャラクターが生き生きと大暴れしていて、毎話、心がじんと熱くなりました。人間だから、生活が脅かされたり予期せぬ出来事が起こった時には、ビビったり、悲しくなったり、悩んだり、不安になったりすると思うんですが、このドラマに出てくるひとたちはみーんな不思議なほどにゲラゲラ笑っていて、生命力に満ちているんです。最初はヘンテコだなぁなんて思ってたんですが、今はこの「街」が愛おしくて仕方ないんです。日々落ち込むこともそりゃありますが、そんな時こそ寄り添ってくれる、やさしい作品になっているかと思います。宮藤さんと、その想いに賛同したたくさんの方々の魂で作った作品。参加できて光栄でした。観ていただいた方にもこの「街」を愛してもらえたら嬉しいです。

宮藤官九郎(企画・監督・脚本)コメント

60年前に書かれた原作小説「季節のない街」を、今ドラマ化する意味についてずっと考えていました。何しろ黒澤明監督の『どですかでん』という大傑作がすでに存在している。安易で独りよがりなオマージュになってはいけない。
そこで舞台を仮設住宅に置き換え、黒澤版では割愛されていた2つのエピソード『半助と猫』『親おもい』を復活させ、それぞれの主人公である半助とタツヤ、さらに『がんもどき』に登場する酒屋の青年オカベを加え、3人の若者の視点で『街』を描くことで、この難関をクリアしようと考えました。
 半助には池松壮亮くん。一方的にファンなので、逆に声をかけづらい存在でしたが、一緒にやるならこれだ!という強い思いが届いたのでしょうか。絶望と悲しみを内に秘めつつ、決して重くなりすぎず、時に観客の目となり、街の変人達を絶妙な距離感で見守る半助。彼のバランス感覚こそ、このドラマの要だったと思います。どこか冷めていた半助が、ラストに向かって変貌していく様も見どころです。
 タツヤ役には仲野太賀くん。たった一人の青年部。母親の愛情に飢えた、承認欲求高めな〝親思い〟の次男坊。ある意味もっとも可哀想な男なんですが、太賀くんの持つ、天性の明るさとコメディセンスのおかげで、打たれ強い、そして立ち直りの早い愛すべきキャラクターになりました。
 オカベ役は渡辺大知くん。厳密には街の住人ではなく、近所の酒屋の息子です。好きな女の子目当てに街に出入りしている。この街で、唯一の恋愛要素を、時に切なく、時に陽気なストーカーすれすれの執拗さで、おおむね切なく演じてくれました。
 3人が互いを尊重し、刺激し合いながら、現場でどんどん膨らませてくれました。彼らのおかげで、2023年版の『季節のない街』は、紛れもなく今を描くドラマになったと思います。

『季節のない街』はディズニープラス「スター」で8月9日(水)より全10話一挙独占配信
企画・監督・脚本:宮藤官九郎
監督:横浜聡子、渡辺直樹
出演:池松壮亮、仲野太賀、渡辺大知
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