『大名倒産』のトークイベントが7月13日(木)に新宿ピカデリーで行われ、桜田通、前田哲監督が登壇した。

数々のヒット作を生み出しているベストセラー作家・浅田次郎の傑作時代小説「大名倒産」(文春文庫刊)。2019年に上下巻で単行本が出版されると「面白い!」「こんな浅田作品が読みたかった!」と話題になった作品が、ついに実写映画化。監督は『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』『老後の資金がありません!』『そして、バトンは渡された』など、立て続けにヒット作を生み出し続ける前田哲。本作が時代劇初挑戦となる。脚本は、映画『七つの会議』やドラマ「半沢直樹」の丑尾健太郎と、ドラマ「特捜9 season2~4」「下町ロケット」の稲葉一広の共同脚本。主人公・松平小四郎役に神木隆之介。そのほか、杉咲花、松山ケンイチ、小手伸也、桜田通、小日向文世、宮﨑あおい、浅野忠信、佐藤浩市が出演する。

小四郎(神木隆之介)の兄、松平家三男の喜三郎役を演じた桜田通は「隣に神木さんも松山さんもいらっしゃらないのでちょっと心細いですが、監督がいらっしゃるということですごい楽しみにしておりました」と挨拶。観終えたばかりの観客に、桜田が「楽しんでいただけましたか?」と問いかけると会場は大きな拍手に包まれた。観客の中には8回鑑賞した人がいるということを知った前田監督は「今日はよく眠れそう」と大満足の様子を見せた。

イベントでは、事前に公式SNSで募集した質問に回答。「撮影中、松平兄弟の愛にあふれたエピソード」という質問に対し、監督は神木と桜田2人のシーンを挙げ、「実際にプライベートでも仲が良い2人の関係から滲み出る良さが表れていて、回を重ねるごとに良くなっていった」と撮影当時を回顧。桜田は松山について初共演とは思えないほどの空気感に驚いたと話す。「接しやすくしてくださった空気感だったり、僕とりゅう(神木)が話しているところにも自然と入ってきてくださった」と松山と神木のコミュニケーション能力の高さに驚きつつも、「そこに巻き込まれながら一緒に楽しめたので愛にあふれている現場だと思った」と振り返った。

続けて、本作の見どころの一つ、喜三郎がハイトーンで和歌を詠むシーンのボイストレーニング再現のリクエストが。監督の熱血指導のもと練習を重ねたという本シーンだが「普段は撮る側だから恥ずかしい」と再現演技には照れ気味な監督の一方でやる気満々な桜田に押され、和歌シーンの練習風景を再現。「春の野に幼きつくしの子どもらがぴょこぴょこ!顔を出すが如し」と喜三郎の和歌詠みが生披露されると、会場は拍手で埋め尽くされた。

さらに「喜三郎のスピンオフを作るとしたらどんな作品か?」という問いに対し、監督は「スピンオフはもう僕の中で決まっていて、元気になった喜三郎が殿になった小四郎の地位を取りに行くという設定のミュージカル映画」とまさかの回答。そこに合わせるように桜田はもう一度喜三郎を演じるとしたら「今回はずっと病に臥せていたので、元気な喜三郎だったらどういう風に外を歩くだろうなど考えていた。続編ではアクティブな部分をこだわりたい。和歌はラップ調かな、DJは新次郎(松山)かな」とノリノリで理想を語った。

そして、サプライズで主演・神木隆之介から2人への質問ムービーがスクリーンで流れ、桜田は「この(サプライズ)演出は台本になかったぞ」と驚きを隠せない様子。前田監督へは「撮影の時、『本番!よーいスタート』と基本的には言ったりすることが多い中、前田監督は毎回『ローリング!』とおっしゃるのですが、そう言い出したきっかけは?」という質問を投げかけ、前田監督は「“カメラを回してください”という意味のローリング。かつてはフィルムだったため回してから少し間が必要だった。僕の場合は、役者さんと向き合いたいし集中してもらいたいところでローリングと合図をし切り替えている」と話した。自然に役に入ってもらいたいから最初にカチンコを叩かなかったり、シーンによってスタートの声色も変えているという前田監督のこだわりが語られた。

桜田へは「桜田通にとってプロフェッショナルとは?を伺いたいです。親友として仲良くさせていただいておりますが、がっつり共演させていただくのは今回が初めて。仲が良いからこそ安心してお芝居ができた部分はありますが、プライベートではお芝居のお話をしたことがありません。ぜひここで桜田通のプロフェッショナルを聞きたいです。槙野まん…小四郎の神木隆之介でした」と現在放送中のNHKの連続テレビ小説『らんまん』の役名を言いかけるという神木の小ボケにどっと湧く会場。そんな中で桜田は「一人で喜三郎を作っていたわけでは無く、同じ空間にいるプロフェッショナルな方を信じて、一緒にその世界に入っていく」と自身のプロフェッショナルに対する考えを答えると、それに対し監督は、桜田の練習を繰り返す姿を見てその真剣さには驚いたと話した。

最後に桜田は「映画が届いていることが何より嬉しくて、これからの自分の自信に繋がると思う。ここにいない神木隆之介はじめ、他の共演者たちやスタッフさん、取材をしてくださったライターさんも皆さん温かい方たちばかりで、そんな作品に携わることができて嬉しく、役者冥利に尽きると思う。公開してなおこんなにたくさんのお客さんが来てくださってとても嬉しい、きっと小四郎や喜三郎、新次郎も喜んでるんじゃないかな。また大名倒産の世界で生きることができる日があったら良いなと思います」、前田監督は「通さんと出会えてよかった。喜三郎を膨らませていただいたことには感謝しかない。(観客に向けて)あと20回くらい見ていただければスピンオフも夢じゃないのかな」とメッセージを送った。

【提供写真・オフィシャルレポート】

『大名倒産』は公開中
監督:前田哲
出演:神木隆之介
杉咲花、松山ケンイチ
小日向文世/小手伸也、桜田通/宮﨑あおい
キムラ緑子、梶原善/勝村政信、石橋蓮司
髙田延彦、藤間爽子、カトウシンスケ、秋谷郁甫、ヒコロヒー
浅野忠信/佐藤浩市
配給:松竹
© 2023『大名倒産』製作委員会

【お詫びと訂正】
初掲載時に一部漢字に誤りがございましたので訂正させていただきました。