『ホテルローヤル』の初日舞台挨拶が11月13日(金)に都内で行われ、波瑠、松山ケンイチ、安田顕、友近、武正晴監督が登壇した。

北海道の湿原に立つラブホテルを舞台に、現在から過去へ時間軸を遡り、ホテルの盛衰とそこを訪れる人々の生と性を、切なくも瑞々しいタッチで描いた七編からなる連作小説、桜木紫乃の代表作「ホテルローヤル」を映画化した本作。映画では、原作の持つ静謐な魅力をそのままに、閉塞感のある日常を離れ、ホテルローヤルの扉をひらく男と女、問題を抱える経営者家族・従業員のそれぞれの人生模様をホテルの経営者家族の一人娘・雅代を主軸として繊細に綴られる。メガホンをとるのは武正晴監督。原作者の桜木自身を投影したとされる主人公・雅代を演じるのは波瑠。

今回、全国の劇場と中継でつないで行われた舞台挨拶の冒頭で「去年の5月6月に撮影しました。今日までいろんなことがありましたけど、無事に初日を迎えられて、ご挨拶することができて幸せなことだと思っています」と感慨深げに挨拶した波瑠。舞台挨拶が行われた会場は取材陣のみがいる形で行われたため「カメラを通していつもより多くのお客さんのところに同じ時間に届いているということを楽しめたらと思います」と笑顔を見せつつ、アクリルパネルの間に立っている波瑠は「ここに収まるのが、お店のマネキンになったようで不思議な感じ」と笑いを誘った。

本作でオール北海道ロケに臨んだ安田は「北海道出身ですが、普段と仕事で行くのと見える景色が違う。改めて、美しさだったり、北海道の情景を再発見できた」と振り返った。話が“方言”に及ぶと、「楽でした。ずっと生まれ育ってますからすんなりと出すことができた」という安田に対して、松山について「やっていくうちに東北の言葉になっていく」と暴露した武監督。続けて「東北から来て北海道で働いている人なのかなと思ってリアリティがあってよかった」という武監督に松山は「内緒って言ったんですよ!」と苦笑。さらに「ちょっと心配なんですよね。優しく見てください。北海道の皆さん、すいません!」と謝罪する場面も。

また、波瑠と松山のクライマックスシーンについて聞かれた波瑠は「着衣を脱いだりするんですけど、お風呂に入るときに服を脱ぐ感じって自分しか知らない。その癖をたくさんの人に見られてる気がして恥ずかしいと思ったんですけど、人間くさい感じが出てくれたらいいなと思って、その時間に身を委ねました」と明かした波瑠。松山は「淡々とやれた気がする」とコメントした。

最後に波瑠は「私も13歳かそこらのときに自分が持たされた人生からこの世界に逃げてきた人なんですけど、そういう私が直木賞を受賞した当時に『ホテルローヤル』を読みたいと思って手に取って読んだ、素敵な本だなと思った時から全く想像ができない今日です。私がまさか雅代を演じる日が来るとはと思いますし、やっていてよかったと強く思います。映画を楽しく見て帰ってもらえたら」とメッセージを送った。

【写真・文/編集部】

映画『ホテルローヤル』は全国で公開中!
監督:武正晴
出演:波瑠、松山ケンイチ、余貴美子、原扶貴子、伊藤沙莉、岡山天音、正名僕蔵、内田慈、冨手麻妙、丞威、稲葉友、斎藤歩、友近/夏川結衣、安田顕
配給:ファントム・フィルム
©桜木紫乃/集英社 ©2020映画「ホテルローヤル」製作委員会