原作を知る人も知らない人も心が熱くなる作品『東京リベンジャーズ』。

主人公・花垣武道は壁の薄いボロアパートに住み、バイト先では年下の店長からバカ扱いされるどん底人生真っ只中のダメフリーター。ある日、ヤンキーだった学生時代に付き合っていた人生唯一の彼女・橘ヒナタ、その弟・ナオトが、関東最凶の組織”東京卍曾”に殺されたことをニュースで知る。その事件を知った翌日、駅のホームにいたタケミチは何者かに背中を押され線路に転落する。死を覚悟した瞬間、タケミチは、不良学生だった10年前にタイムスリップしてしまった!過去に戻ったタケミチはヒナタの弟ナオトに遭遇、ナオトに「10年後ヒナタは殺される。」と伝えたことにより、未来が変化した。ヒナタは救えなかったがナオトは死を避け10年後刑事になっていた。現代に戻り、刑事になったナオトに「10年前に戻り、東京卍曾を潰せばヒナタを助けられる。力を貸して欲しい!」と言われる。タイムリープする方法は、現代あるいは過去にいるナオトと握手すること。ヒナタを救うため、逃げ続けた人生を変えるため、タケミチが関東最凶不良軍団・東京卍曾に挑む―。

累計発行部数300万部超、週刊少年マガジンで連載され、今最も10代・20代男女の心を掴んで離さないバイブル的なコミックス「東京卍リベンジャーズ」を実写映画化した本作。主人公・タケミチを演じるのは、リアルタイムで原作を愛読し、タケミチが一番好きなキャラクターでもあったという北村匠海。初めは自信がなく歯痒さもあるが、うちに秘めた強さと真っ直ぐな心を持つ少年を演じている。また、東京卍會副総長・龍宮寺堅(通称:ドラケン)役を山田裕貴、物語のカギを握る存在の橘ナオト役を杉野遥亮、タケミチの天敵でキヨマサこと清水将貴役を劇団EXILEの鈴木伸之、裏で暗躍する東京卍曾幹部・稀咲鉄太役を間宮祥太朗、タケミチが挑む東京卍曾の総長・佐野万次郎(通称:マイキー)役を吉沢亮が演じる。監督はあらゆるジャンルでヒット作を手掛ける英勉。コロナ禍により2度の中断を余儀なくされた本作からはキャスト&スタッフ陣の熱い思いが伝わってくる。

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主人公のタケミチがタイムリープをするシーンは迫力があり映画を観ている者たちのボルテージを一気に上げる。ただヤンキーを描いているわけではなく、喧嘩は弱いが強い意志を持つ主人公、無敵の総長、人情に溢れカリスマ的存在の副総長、キャラクター一人一人が完ぺきではなく、少年の心を持つ原作の魅力をふんだんに引き出している。また、数々の名シーンや名言をキャラクターが乗り移ったように全キャストが演技力と熱量を見せている。特にタケミチとキヨマサのタイマンのシーンは成長したタケミチの必死な姿が映し出されており、観た人に勇気を与える名シーンとなっている。

そして、マイキーとドラケンの圧倒的強さを表すアクションシーンには目を奪われる。吉沢亮演じるマイキーのカポエラのような身のこなしで小柄ながらも簡単に相手を倒してしまう姿は、まさに原作そのもの。また、キヨマサ役の鈴木伸之は力で弱いものをねじ伏せるがタケミチの成長に驚きを隠せずにいる姿を見事に演じきった。とにかく完璧なキャスティングには原作ファンも納得ではないだろうか。また、抗争シーンは圧倒され、楽曲、照明のすべてが完ぺきで、かっこよすぎるの一言に尽きない。原作の『東京卍リベンジャーズ』を知っている人はもう一度映画館で心が熱くなり、初めて見る人は勇気と元気をもらうことができる作品だ。続編を心待ちにしている。

映画『東京リベンジャーズ』は2021年7月9日(金)より全国で公開!
監督:英勉
出演:北村匠海、山田裕貴、杉野遥亮、今田美桜、鈴木伸之、眞栄田郷敦、清水尋也、磯村勇斗/間宮祥太朗/吉沢亮
配給:ワーナー・ブラザース映画
©和久井健/講談社 ©2020「東京リベンジャーズ」製作委員会

【文/片岡由布子】