『東京ウィンドオーケストラ』の初日舞台挨拶が1月21日（土）に新宿武蔵野館で行われ、坂下雄一郎監督、中西美帆、小市慢太郎、松木大輔、星野恵亮、遠藤隆太、近藤フク、及川莉乃、川瀬絵梨、松本行央、青柳信孝、嘉瀬興一郎、武田祐一が行われた。

公開初日を迎え、主演の中西は「今日、本作の封切りを迎えて記念する日となりました。初主演というのは人生で一度しか無いので今日この瞬間が愛おしいですし、幸せです」と笑みを浮かべ「映画の中ではほとんど笑わない、ちょっと怖いな･･･って感じだったと思うんですけど、普段の私は笑い上戸で違うので誤解なきようお願いします」と笑いを誘った。

坂下監督との仕事について小市は「実は、監督と僕は言葉を交わしていない」と明かし「僕は一方的に観察していた。僕が思うのは、坂下さんはビジョンがはっきりしていて、やりたいことがはっきりしている。演者に対する演出もすごく的確で、信頼のできる監督で。若くして才能のある方だなと尊敬しております」と坂下を褒め称えた。これに坂下は「そうですね」と一言返事をし「それほど言葉を交わしていないので、こういうことを聞けて嬉しいです」と喜びを見せた。小市との共演について中西は「間近でお芝居を拝見させていただけでも勉強になりました」とコメントし「セリフの捉え方のアドバイスを頂いたり。その節はありがとうございました」と感謝の気持ちを述べた。

本作の制作に対する思いを問われた坂下監督は「なるべく次に繋がるように。これで終わるわけにはいかない、とみんなも思っていると思うので、これをきっかけに次に繋がればいいな。と何となく考えながら、ちょっと作っています。汚い計算をしています（笑）」と次作への期待を膨らませた。

話題はオーケストラメンバーに振られ、完成した脚本を読んだ感想を問われた星野は「ワークショップをやって、アドリブのエチュードとかもやった。台本見た時に『あれ、これ喋ったことあるな』というセリフがあって。エチュードで何気なく喋ったものが台本に反映されていて嬉しかった」と語り、遠藤もこれに同意。近藤は「僕、あんな怒っていたかな？でも、そう見えたのでしょうね（笑）」及川も続いて「私もそんなにキツイかな？」と本音を漏らした。

楽器の練習について武田は「自分、本当はトランペットをやりたかったんですけど何でクラリネットになったんですか？」と坂下監督に疑問を投げかけると「各楽器はそもそもの編成における役割を調べて。ネットに載っていたので。じゃあこの物語では誰かな、といった感じで決めました」と返すと、武田は納得した様子を見せた。松木にマイクが渡されると「僕、オーケストラメンバーではないので楽器はやっていないんですよ（笑）ワークショップ中は近藤くんの役をやっていた。僕はあの役になるのかなと思っていたので、課長の役はやりたいようにやっています」と笑いを誘った。

最後に中西は「終始ふてぶてしい性格ブスな女の子でしたけど、自分にとって役者人生のターニングポイントとなるような作品と出会えて本当に幸せだなって思いました。規模的には小さな映画ですがこの小さな映画の中に共演者、スタッフ、映画に携わってくださった方々の想いがいっぱい詰まった作品です。ご覧になったみなさんに育てていただきたいと心から思います」と涙を浮かべ、感謝の気持ちを表した。

世界遺産・屋久島を舞台に、有名オーケストラと間違われて島にやってきたアマチュア楽団と、自分のミスで彼らを呼んでしまった町役場の女性職員が、彼らを本物のトップアーティストとしてだまし通そうとするハート・ウォーミング・コメディ。監督は、東京藝術大学大学院の修了制作作品が注目を集めた新鋭・坂下雄一郎がオリジナル脚本で商業映画デビューを飾る。さらに注目の若手女優・中西美帆が映画初主演を務め、アマチュアオーケストラの楽団員を、年齢もキャリアもバラバラの新人俳優たちが熱演する。

【取材・文・写真／蔭山勝也】